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「あの時、新たな感覚をつかんだ」 中村俊輔が今明かす、忘れがたい“一本のパス”(Football ZONE web)- Yahoo!ニュース

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【天才レフティーの思考|No.5】1999年シドニー五輪アジア予選のカザフスタン戦で生まれた「あの一本」


「あの時、新たな感覚をつかんだ」 中村俊輔が今明かす、忘れがたい“一本のパス”


日本サッカー界の顔役を長年担ってきた中村俊輔にも、自身の記憶に刻まれた一本のパスがあるという【写真:神山陽平】

 華麗なパスはサッカーを彩り、観る者を魅了する。選手一人ひとりに“思い出のパス”が存在し、それは日本が誇るファンタジスタも変わらない。日本サッカー界の顔役を長年担ってきたJ1ジュビロ磐田の元日本代表MF中村俊輔にも、自身の記憶に刻まれた一本のパスがあるという。

【動画】これぞ天才の証明! 中村俊輔の鹿島戦圧巻ミドル弾

「昔、五輪予選のカザフスタン戦で長いボールを平瀬くんに出した。あの一本は今でも印象に残っている」

1999年11月6日、U-22日本代表はシドニー五輪アジア予選でカザフスタンと対戦。五輪の出場権獲得が懸かった国立競技場での一戦で、A代表の指揮官も兼任していたフィリップ・トルシエ監督は、次の11人をピッチに送り出した。

GK曽ヶ端準、DF中澤佑二・宮本恒靖・中田浩二、MF明神智和・遠藤保仁・稲本潤一・中村俊輔中田英寿、FW福田健二・平瀬智行。MF小野伸二は負傷離脱していたものの、当時「歴代最強」と謳われたU-22日本代表は、1次予選を含め予選10連勝と圧倒的な強さを誇示していた。

本拠地カザフスタン戦では、予選初のリードを許す展開で前半を折り返した日本。しかし、後半25分に中田英のパスから平瀬が頭で合わせて同点に追いつくと、後半41分に中村の左足から「あの一本」が飛び出した。

「あの当時流行っていた」パスとは?


「あの時、新たな感覚をつかんだ」 中村俊輔が今明かす、忘れがたい“一本のパス”


中村は、あえて“ぎりぎりのパス”を出す真意について語った【写真:神山陽平】

 センターサークルの右付近でボールを受けた中村は、トラップで一瞬の間を置くと、虚を突くようにすぐさまキックモーションに入って左足を一閃。約35メートルの低弾道パスを対角線上に打ち込み、相手DF間に走り込んだ平瀬の左足にぴたりと通す。トラップはやや浮いたものの、そのままエリア内に侵入した平瀬が冷静にゴールを決め、これが決勝弾。試合はその後、中村が代名詞のFKを沈めて3-1で逆転勝利し、2大会連続6回目の五輪出場を決めた。

なぜ中村は、平瀬に通したパスを挙げたのか。そこには、「余裕を持ってパスを通すのではなくて、あえて味方に届くかどうかというぎりぎりのボールを出す」という明確な意図があった。“ぎりぎりのパス”の真意はこうだ。

「相手もぎりぎり取れそうだと思って、思わず反応してしまう。でも、実際にボールを取ろうと思ったら、無理だと判断して体勢を立て直すけど、反応が遅れた分、そのパスがそのまま通る」

実際、中村が平瀬へ出したパスの際には、相手が反応し、前に出ようとするも諦め、一瞬の遅れが生じた。その結果、平瀬はトラップと同時に相手と入れ替わり、ゴールを陥れることに成功している。

「そういうぎりぎりのパスは、上手く通れば一発で味方FWと相手DFが入れ替わって大チャンスになる。それがあの当時は流行っていましたね」“ぎりぎりのパス”の美学

 当時から高精度のキックを武器にしていた中村は、“ぎりぎりのパス”を意図的に出していたと明かす。さらに、自らそのポイントを解説する。

「パスが短すぎても長すぎてもダメ、本当にぎりぎりのところ。距離的には十分届くし、相手の位置も確認済み。そのうえでパスのスピード感が難しい。ポイントは、相手にいかにボールを取れそうと思わせるか。ボールカットを狙わせないといけないですからね」

味方と相手の位置、ボールの長短と緩急を全て計算し、絶妙なコースに通して大チャンスを演出したパス。中村の“思い出の一本”には美学が詰まっている。

「パスが緩すぎると相手に簡単に取られますし、逆にパスが速すぎると相手はボールに反応しないで、初めからFWの方に寄せるので、FWがプレッシャーを受ける形になる。その微妙なさじ加減が重要で、あの時のパスで新たな感覚をつかみました」

当時21歳の中村はこうして進化を遂げると、この試合からわずか3カ月後の2000年2月13日に行われたAFCアジアカップ予選シンガポール戦でA代表デビューを飾った。その後の活躍ぶりは多くの人が知るところである。

大木 勇(Football ZONE web編集部)●文 text by Isamu Oki

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