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目標は「トップ5入り」名波浩監督が”緻密なチーム作り”の先に見据える野望 – サッカーダイジェストWEB

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 J1復帰初年度の2016年シーズンは最終節で辛くもJ1残留を決めた磐田が、昨季は上位に駆け上がった。リーグ最少失点を記録し、開幕前に名波監督が「+-ゼロが目標」と語った得失点差は+20。13位から6位と順位を大きく上げた。
 
 最終戦では、優勝に王手をかけてヤマハスタジアムに乗り込んで来た鹿島に得点を許さず引き分け、往年のライバルの連覇を阻んだ。アウェーでの同カードも3-0で快勝している。浦和にも今季は1勝1分けで負け無し。初優勝を遂げた川崎にもホーム戦は5-2で勝利するなど、強豪チームにも堂々と渡り合い、最後までACL出場を射程圏内に捉えて戦った。そうした躍進ぶりから、来季は優勝争いへの参戦を予想するファンも多いだろう。
 
 しかし、14年の9月にJ2で不調にあえぐチームを預かり、一からの立て直しを図ってきた名波監督が4年目のシーズンの目標に掲げているのは、『トップ5』入り。むしろ、「ここで勘違いをしてはいけない」と気を引き締める。
 
「夏前くらいからリーグで“ダークホース”的な存在になった。それを踏まえて、実際に我々がどの位置にいて相手にどう思われているかも吟味しながら戦ったが、我々にはまだ充分な力はない。ひとり抜けただけでガクンと力か落ちるとか、怪我人が出て低迷する例を数多く見てきた。そういう意味では、今がチームの締め時。ゴン中山(雅史)のような、背中で『おまえら勘違いするな』と言う選手はいないから、我々コーチ陣がしっかりやらないといけない。トップ3や優勝争いを現実的な目標として明確に口にできるのは、来年の先だと思う」。名波監督はシーズンを振り返った上で来季を見据え、そう語っている。
 
 現役時代、Jの強豪として一時代を築いたOB監督が目指すのは、一過性の強さではなく、持続可能な強さを備えた常勝クラブに再び磐田を引き上げること。攻守に自分たちから仕掛ける、アクションに満ちた魅力あるスタイルの構築を強化の軸に据えたチーム作りのプロセスは、地道で緻密で、段階的だ。

 たとえば、2016年シーズンのセカンドステージ初戦にそれまでの4バックから3バックにシステムを変え、戦績的に苦しむもそれを貫いたのは、守備の横・縦ズレの速さを鍛練しチーム力を進化させる狙いもあった。その成果が昨季の守備の安定を支える要素のひとつとなったように、指揮官は勝利だけに拘泥せず、結果を急がず、試合内容や選手の成長、チーム全体の底上げを重視し、階段を踏み外さずに一段一段確実に登ってきている。
 
「今年は、フリーズトレーニングを増やすつもりだったが、自分が練習を止める前に、選手が課題に気がついて声をかけるので、実際にフリーズする回数はまったく増えなかった。選手たちに『今の(プレ-)はどうだった?』と聞くと、J2の時は曖昧な答しか返ってこなかったが、今は誰々の自由な動き出しがよかったとか、このシステムならこうすべきとか、具体的な答がすぐに返ってくる。だいぶ理解してきているし、変わったな、と思う」
 
 選手たちの成長をそう評する指揮官は、その手応えを土台に、来季も上位を見据えながら自分たちのサッカーを進化させる作業を続けるだろう。
 
 名波監督はまた、目の前の試合だけではなく、常に少し先の戦いやチームのあるべき姿を想定してトレーニングを行なっている。新シーズンのテーマも早い段階で決めており、すでに昨季終盤戦から取り組んでいるものもある。「自分たちは(プレーを)休まないで、相手を休ませないこと」がそのひとつ。さらに、監督は新しいシステムに挑戦することを、示唆している。
 
 具体的な言及はないが、昨季併用した3-2-4-1と4-2-3-1以外のシステムとなれば、4-4-2か、あるいは3-5-2か。ポイントとなるのは、中村俊輔と9月にドイツから磐田に復帰した山田大記の共存かもしれない。新加入FWの中野誠也や、怪我からの復帰が待たれる小川航基の存在を考えると2トップもあり得る。
 
 補強については、理想のサッカーに照らしてチームに足りない力をもたらす選手、また目指すサッカーにマッチした若手選手を獲得し育成するやり方を徹底している。

 2016年シーズンの課題だった、守から攻に切り替わる最初のプレーの質を上げた中村俊輔(中村俊は試合運びの巧みさやFKの得点などその他にも多くをもらたしたが)や高橋祥平、前線の動き出しで攻撃を活性化させた川又堅碁、攻守に前への推進力を発揮したムサエフら、昨季は新戦力がスタメンに定着し活躍。補強は成功した。
 
 新シーズンは、若手を含めて現有戦力のさらなる融合も強化のテーマとなるだろう。もちろん補強はするだろうが、挑戦する新しいシステムにマッチした戦力の獲得となるかもしれない。いずれにせよ、新シーズンは新システムを通じて、J王座を目指す磐田の最終形に近いサッカーが見られそうだ。
 
 理想に拘泥せず、現実に収束してしまわない――。名波監督のチーム作りは、そんな絶妙な、自身のスタンスに支えられている。3年半を経てその進捗具合を訊けば、「3分の1から半分くらいまでは来たのではないか」。優勝については、「新シーズンに取り組むテーマをクリアした時に初めて『Jの頂きに向かうぞ』『トップをとりにいくぞ』と言えるのではないかと思う」と語る。
 
 磐田は夢の途上。あくまで挑戦者の姿勢を崩さず、上位を狙いながら、着実な歩みを続ける。

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